歴史 | レアル・ベティス対日本代表

1993年9月、日本代表がビジャマリンを訪れベティスと親善試合を行った。

今から26年前、日本代表がベニート・ビジャマリンを訪れたことをご存じだろうか。1993年の9月15日、当時1994年ワールドカップ最終予選に向けて準備を進めていた日本代表は、その一環としてレアル・ベティスと親善試合を行った。

ハンス・オフト監督率いるチームは前年にアジアカップを制覇しており、アメリカ大会で初のワールドカップ出場を果たす夢を追いかけ、カディスのチクラーナで合宿を行っていた。

対するベティスはセグンダ(2部)で3シーズン目となる1993/94シーズンのリーグ開幕直後で、メリダに勝利した後ウエスカに敗れるなど、最高のコンディションではなかった。

水曜日の12時にキックオフされた試合はシーズンチケット保有者のみに解放され、約4000人の観客が訪れている。驚くべきは日本代表を取り巻くメディアの数で、実に107人のジャーナリストとテレビ局8社が試合を見守った。

両チームの出場選手は以下の通り。

レアル・ベティス:ホセ・ルイス(46分:レケナ);マルケス、フアンル、イヴァノフ、オリアス、モンレア;フリオ・ソレール(46分:ロペス・ベルナル), コベレフ、メリーノ;ベニート(78分:マノーロ)、コマス

日本代表:松永成立(46分:前川和也);堀池巧、井原正巳、大野俊三、江尻篤彦;福田正博、澤登正朗(46分:大榎克己)(72分:吉田光範)、森保一、ラモス瑠偉;高木琢也(65分:中山雅史)、長谷川健太(55分:武田修宏)

試合は日本代表が高木琢也のゴールで7分に先制、ベティスは1994年ワールドカップでブルガリア代表の一員として躍進に貢献することになるイヴァノフが同点ゴールを決め、ベニートの得点で逆転に成功する。

ハーフタイム直前に福田正博がスコアを2-2とした試合は、終了間際の88分にイヴァノフがこの日2点目となる得点を決めて3-2でベティスが勝利を収めた。

日本代表は翌月行われたワールドカップ予選で、最終戦のイラク代表戦でアディショナルタイムに追いつかれて勝ち点を落とす「ドーハの悲劇」を経験し、あと一歩で初の大舞台を逃した。

4年後の1998年のワールドカップ・フランス大会で初出場を果たした際には、ビジャマリンでの一戦に出場した選手は井原と中山の2人だけとなっていた。その後日本サッカーは目覚ましい発展を続け、2018年の夏にはベティスにとって初の日本人選手となる乾貴士が加入することとなった。